

海外FXを「個人口座」「法人口座」どちらでやるべきか悩んでいる方にとって、それぞれの善し悪しを知ることはとても重要です。
特に、サラリーマンではなく個人事業主として活動されている方にとっては、比較的ハードルが低く法人口座を開設できます。
この記事を見ることであなたが「個人口座」「法人口座」どちらでやるべきかがわかり、また具体的な数字にしてイメージ可能です。
結論から述べると、初心者は個人事業主で始めるのがおすすめです。
この記事では、なぜ初心者は個人事業主で始めるのがおすすめなのかについて、詳しく解説します。
海外FXを個人口座と法人口座で確定申告したときの比較表
個人口座と法人口座を比較すると以下のようになります。
項目 | 個人口座 | 法人口座 |
---|---|---|
税制 |
総合課税 |
法人税 (15〜23.2%) |
所得の申告方法 | 確定申告 | 決算申告 |
損失時の課税 | なし (確定申告の必要もなし) |
法人住民税7万円〜徴収 (決算申告の必要あり) |
損益の相殺 | 不可 | 可能 |
損失の繰越 | 不可 | 可能(9年間) |
経費の範囲 | 狭い | 広い |
口座開設のしやすさ | 簡単 | 手間がかかる |
個人で海外FXの利益が生じた場合は、総合課税が適応されます。会社員の年末調整や証券会社の特定口座サービスのような源泉徴収の仕組みはないので確定申告する必要が出てきます。
ただし、年間の所得がマイナスになってしまった場合は確定申告が不要です。
他の所得と損益通算も損失の繰越控除も認められていないので、所得税や住民税の計算上、その損失はなかったことと同じ扱いになります。
※税制は頻繁に変わることがあります。毎年チェックする必要があるので十分注意して確定申告してください。
海外FXを個人事業主でやるメリット
法人と比較したとき、個人事業主で海外FXを始めるメリットはたくさんあります。
主なメリットとして、次のような点が挙げられます。
1.設立費用やランニングコストが発生しない
2.口座開設の書類審査が簡易的
3.未決済なら所得に含まれない
4.赤字の場合課税がない&確定申告をする必要がない
5.ほとんどの海外FX業者で口座が作れる
各メリットについて、詳しく解説します。
1.設立費用やランニングコストが発生しない
個人でトレードするだけならタダで手間もそこまでかかりません。
法人口座でトレードするには会社の設立が必須です。
会社の設立に25万以上、その他住民税(最低でも7万以上)などのランニングコストかかるため、一般の方にとってはハードルが高いです。
2.口座開設の書類審査が簡易的
会社ごとで異なりますが、個人でトレードを始めるなら必要書類も簡易的です。
「本人確認書類」「住所証明書類」の2点があれば概ね海外FX業者で口座開設が可能です。
翌営業日には口座開設ができる業者が多いため、スムーズに取引したい方は個人口座がおすすめです。
法人の場合は、以下が必要になります。
・登記簿謄本
・代表取締役(もしくは役員全員)の身分証明書
・代表取締役(もしくは役員全員)の現住所書類確認
その他、各業者で上記以外の必要書類がある場合やメールを送ることもあります。
3.未決済なら所得に含まれない
個人の場合年間(1/1〜12/31)に決済した利益に対して課税対象となるため、保有し続けている限り所得とはならず税金もかかりません。
長期保有のスイングトレードなどでは、状況によって年をまたいで決済するかの判断による節税も可能です。
4.赤字の場合課税がない&確定申告をする必要がない
個人で年間トレードが赤字だった場合、課税はありません。給与収入以外の収入がなければ基本的に確定申告をする必要もありません。
※サラリーマンだとしても給与所得が2,000万円を超える場合は確定申告が必要です。
法人の場合、年間トレードが赤字でも法人住民税7万円は支払う義務があります。
法人口座を作る場合は計画性を持つ必要があります。
5.ほとんどの海外FX業者で口座が作れる
個人口座ならほとんど全ての海外FX業者で開設が可能です。
法人では口座開設できない業者もあります。
例えば「XM」などの業者では法人口座を受付けていません。
法人口座を用意している業者を選定することが重要です。
海外FXを個人事業主でやるデメリット
個人事業主が海外FX取引する場合、法人と比べ劣る点があります。
主なデメリットとしては、以下の通りです。
1.利益が大きいと税金面で不利
2.損失繰越ができない
3.損益の相殺ができない
4.経費の幅が狭い
5.給与所得控除が使えない
個人で取引する際はデメリットも確認しておきましょう。
利益が大きいと税金面で不利
個人口座では総合課税が適応されます。
総合課税は以下の税率です。
※平成27年以降最新版
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
海外FXの所得は累進課税制度となるため、個人の所得に応じて相応の税率が課せられます。
法人口座では法人税などが適応されます。
法人税は以下の税率です。
資本金規模 | 所得金額 | 税率 |
---|---|---|
1億円超 | − | 23.2% |
1億円以下 | 8,000,000円超 | 23.2% |
8,000,000円以下 | 15.0% | |
※赤字の場合 | 0 | 0 |
法人の場合、法人税以外にも以下の税金がかかります。
・法人住民税
・地方法人税
・法人事業税
法人の所得に課税される税金の実質的な負担割合を表したものを実効税率といいます。
2021年12月決算会社の実効税率は30.62%と計算されました。正確には本社の所在地と会社の資本金の額によって、特例があるためそれより低いこともありますが、「東京に本社を構えた大企業の実効税率」が30,62%となるのです。
実効税率の計算は複雑なので割愛します。
損失繰越ができない
海外FXの場合、損失繰越ができない点が懸念されます。
本年分の損失を控除しきれないとき、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除できる制度です。
個人事業主では損失繰越ができず、赤字を年間100万円出したとしても翌年の利益100万円と相殺することはできないことになります。
法人化することで、9年間の損失繰越が可能です。
損失の相殺ができない
海外FXでは損失が出ている際、その他の事業と相殺することは基本的にできません。
※同年の仮想通貨取引であればできる場合があります。
ただし、海外FXで利益が出ている場合事業所得や不動産所得の損益通算は可能です。
投資家の中には知らない人もいるので、賃貸不動産経営が赤字になった場合など、損益通算によって海外FXの所得を圧縮できることを理解してください。
経費の幅が狭い
海外FXでは経費計上することで所得が圧縮され、節税につながります。
FX取引で利益を得るために直接支出したものが該当します。FXのためだけに支出したものはほとんど全て必要経費にできます。
個人事業主でも、以下を経費とできます。
・PC代
・サーバー代
・セミナー代
・書籍代など
さらに、法人であれば上記の費用以外にも以下を経費として計上可能です。
・役員報酬
・住居費用の一部
・保険
・雇用
・退職金積立など
以上のように、幅広く経費として割り当てることができます。
給与所得控除が使えない
給与所得控除とはサラリーマンやOLの経費のように、給与所得者の公平性を保つための控除です。
所得金額2,400万円以下に共通する「基礎控除」の48万円のみとなります。
法人化すると給与という形で代表者が利益を受けた場合「給与所得控除」が使えます。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%−100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
※令和2年分以降
最低でも65万の大きな控除が受けられるので法人化している場合は大きな節税対策になります。
(注)同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払い金額の合計額により上記の表を適応
海外FXの税金を計算できる「税金計算ツール」を紹介!
出典:海外FX比較ナビ
海外FXに限らず、確定申告時にいくらの税金がかかるのかを計算するのがとても面倒です。
単に計算が面倒なだけであればまだしも、もし誤った税額をはじき出して確定申告しても、修正しなければならない場合もあるので要注意です。
他にも、税率が変わるギリギリの状況では、利益確定のタイミングを見計らう必要があります。
そこで、手軽に税率を計算できる方法があるととても便利ですが、それを実現するのが海外FX比較ナビです。
海外FX税金計算ツールは、本業の収入と海外の収入を入力するだけで、所得税と住民税が自動的に算出されます。
他にも、配偶者ありや子どもの年齢や人数などを入力することで、より細かい計算も可能です。
なんと、社会保険料の計算も自動で算出できるのが魅力的です。
さらにうれしいのが、生命保険などの控除をした場合やふるさと納税を行った場合などのシミュレーションも自動的に表示されるため、特別に控除を入力する必要がありません。
実際の金額とは若干違う可能性があるため、あくまでも参考程度となりますが、概算で税金を計算したい場合はとても便利なツールです。
海外FX比較ナビでは、その他にも自動で計算する以下のツールが用意されています。
・レバレッジ計算自動ツール
・証拠金計算自動ツール
・ロスカット計算ツール
FX取引する際は、これらの計算ツールを使うことで、複雑な計算をせずに簡単に金額を知ることができます。
いくら証拠金が必要なのか、税金はいくらになるのかなどのシミュレーション計算をしたい方におすすめです。
トレーダー年収500万以下であれば個人事業主がおすすめ
どこから法人化するといいのか、気になる人は多いです。
経費や法人化の税率計算が難しいことから、これが正解というものはありません。
ただ、一般論として以下の場合に法人化がおすすめです。
・年収500万以下:個人事業主がおすすめ
・年収500~1,000万:経費やその他事業による
・年収1,000万以上:法人化をおすすめ
のイメージを持っていただければ概ね問題ありません。
FXの取引が本業か副業かによっても変わってくるので、会計・経理に関して専門知識がない場合は税理士に任せるのが一般的です。
税理士報酬は年間売り上げが1,000万円以下の場合、月額顧問料が1~2万円ほどで決算申告は月額顧問料の6ヶ月分程度になっています。
具体的な計算方法やシミュレーターを使っておこないたい方は、以下記事をご参照ください。
https://www.giants-forex.com/media/forex-knowledge/tax-method-of-calculation/
ここからは実際に簡易的なシミュレーションしてみます。
今回はトレードを本業として、
個人事業主経費:65万円(最大)
実効税率:30.62%(2021年12月決算例)
として考えてみます。
※実際はさらに計算が複雑なため、参考程度としてください
トレーダー年収300万円の例
トレーダーとして一人立ちができる収入の場合の税金を比較してみました。
年収3,000,000円 | 個人口座 | 法人口座 |
---|---|---|
給与所得控除 | − | 980,000円 |
青色申告特別控除 | 650,000円 | − |
基礎控除 | 480,000円 | 480,000円 |
所得 | 1,870,000円 | 1,540,000円 |
税率 | 5% | 30.62% |
所得税 | 93,500円 | 471,548円 |
あくまで概算ですが、年収300万円程度では税金面で個人に軍配が上がる傾向にあります。
個人事業主で節税対策をしていなければ税率は10%になっているので、青色申告することを忘れないでください。
トレーダー年収5,000万円の例
年収50,000,000円 | 個人口座 | 法人口座 |
---|---|---|
給与所得控除 | − | 1,950,000円 |
青色申告特別控除 | 650,000円 | − |
基礎控除 | 480,000円 | 480,000円 |
所得 | 48,870,000円 | 47,570,000円 |
税率 | 45% | 30.62% |
所得税 | 17,195,500円 | 14,565,934円 |
海外FXでは高いレバレッジをかけられるので膨大な利益になることも考えられます。
もし年間で5,000万円の利益があったときは、ほとんどのパターンで法人に軍配が上がるのです。
法人口座ではここからさらに経費を使えるのでよりお得であることがわかります。
まとめ
当記事では、海外FXにおける個人事業主について解説しました。
これから海外FXを始めようと思っている方は個人事業主から始めて、高い水準で収支が安定してきてから法人化するのが王道といえます。
国内FXに比べ海外FXは少ない資金で高い利益を狙う取引ができます。
また、ゼロカットシステムを採用しているため口座残高がマイナスになっても借金を負うリスクはありません。
さらに海外FXでは取引に応じたボーナスなどが豊富なため、国内FXより魅力的な業者が多いです。
海外FXの利用を考えている方は日本人利用者数No.1の「FXGiants(FXジャイアンツ)」が安全性・信頼性・約定力など全てにおいて優れているのでおすすめです。